今週(8/31〜9/6)は、前号で予告したWebflow Confが9月1日から3日に開催され、新製品「Source by Webflow」が発表されました。同じ9月1日にはFigmaがMCPまわりを更新し、Firefox 155が公開されています。そしてこのFirefox 155は、ブラウザ各社が進めている2週間リリースへの移行第1弾でもありました。
読む章の目安です。サイト運用の受託をしているなら1章と2章、CSSを書くなら3章、ブラウザ対応の方針を決める立場なら4章、WordPress案件を持っているなら5章です。
Webflow が「Source by Webflow」を発表(9/2)— 作る人の隣にエージェントが座る
Webflow Conf 2026(ボストン+オンライン、9/1〜3)で、新製品「Source by Webflow」が発表されました。マーケティングチームとAIエージェントが一緒にデジタル体験を作る、エージェンティックなワークスペースという位置づけです。
出典: Webflow Blog — The biggest announcements from Webflow Conf 2026 / Source by Webflow
押さえておきたい点:
- エージェントがバックグラウンドで動く: AEO(AI検索向けの最適化)の修正案や、試す価値のあるCROテストを見つけて Inbox に投げてくる。しかも作業は下書き済みで、レビュー待ちの状態で届く
- 既存のコードベースに直接つながる: ビジュアルな抽象化レイヤーを経由せず、エージェントがサイトのコードにアクセスする。martechスタックとも接続する
- 統制は残る: ブランド基準・権限・ビジネスルールが、何を公開してよいかを制御する
- 現在は限定リサーチプレビュー: 申し込み受付中で、提供時期と価格は公表されていません
CEOのLinda Tong氏は、「builder」の定義がデザイナー・開発者・エージェンシーから、マーケターとエージェントにまで広がったと語っています。
「ビジュアル抽象化レイヤーを経由せず、コードに直接アクセスする」という設計が、いちばん引っかかった点です。 Webflowはこれまで、コードを書かずに作れることを価値にしてきました。そこを自ら外して「エージェントには生のコードを触らせる」と言っているわけで、方向転換としてはかなり大きい。
前号で「Conf前にプランと請求額を控えておくと、価格改定の比較基準になる」と書きましたが、既存プランの改定は今回発表されていません。 Sourceも価格未公表のままです。受託する側として意識しておきたいのは、むしろ納品物の定義が変わる可能性の方です。 サイトを作って渡すのではなく、エージェントが動かせる状態にして渡す、という要求が出てくるかもしれません。ただし今すぐ動く話ではなく、次の提案書を書くときに頭の片隅に置いておく、くらいの温度感が妥当です。
💡 今すぐ試せる: Webflow案件があるなら、リサーチプレビューに申し込んで実物を確認しておく。使わないとしても、クライアントから聞かれたときに答えられる状態にはなる
Figma も MCP まわりを更新(9/1)— 別のツールから触られる前提へ
同じ週に、Figmaもエージェント方向の更新を出しています。
- MCPの更新: サードパーティのエージェントからFigmaのデータを扱うワークフロー向けの改善
- コードの表示とダウンロード: デザインから生成したコードを、その場で見て持ち出せる
- 生成プラグインとシェーダーの拡張: アニメーションやインタラクティブな効果に対応し、コミュニティや組織単位で公開できるように
Webflowが「エージェントにコードを触らせる」と言い、Figmaが「外部のエージェントから触られる口を整える」。同じ週に方向の揃った発表が出たのは偶然ではないと思います。 デザインツールもサイトビルダーも、人間が直接操作する前提から、エージェント経由で操作される前提へ寄せてきています。
制作者側の実務としては、まだ様子見で構わない段階です。 ただ「Figmaのデータを他のツールから読む」流れが標準化すると、デザインデータの整理の仕方…命名規則やコンポーネントの切り方が、人間の見やすさだけでなく機械の読みやすさでも評価されるようになります。そこは今から効いてくる部分です。
💡 今すぐ試せる: Figmaのコンポーネント名やレイヤー名に、意味の分かる名前が付いているか1ファイル分だけ点検する。エージェント経由で読まれる前提だと、命名の雑さがそのまま出力の質になる
Firefox 155 公開(9/1)— CSSに4つの新機能
9月1日、Firefox 155が公開されました。CSS関連で実務に効く追加が4つあります。
出典: MDN — Firefox 155 release notes for developers

attr()がすべてのプロパティで使える: これまでcontent専用でしたが、型を指定すればwidthでもbackgroundでも使えるようになりましたbackground-clip: border-area: 背景をボーダーが描画される領域にクリップする。グラデーションや画像をボーダーとして使えますprogress(): 開始値と終了値に対して、現在値がどの位置にあるかを計算する数学関数alpha(): 既存の色を参照して、透明度だけを差し替える相対カラー関数
このうち日常的に効きそうなのが attr() の拡張です。
See the Pen CSS attr() が全プロパティで使える — HTML属性だけで見た目を変える by BaseKENT (@basekent) on CodePen.
/* 従来: content でしか使えなかった */
.tooltip::after { content: attr(data-tip); }
/* Firefox 155〜: 型を書けば、どのプロパティでも使える */
.bar::before {
content: ""; /* 疑似要素の生成は必要 */
width: attr(data-value type(<percentage>), 0%);
}
.badge { background: attr(data-color type(<color>), #64748b); }
進捗バーやステータスバッジのように、「値だけが違う同じ見た目」を並べる場面で書く量が減ります。 これまではステータスの数だけクラスを用意するか、CSS変数をJSで流し込むかでした。CMSから出力する値をdata属性に載せるだけで済むようになります。第2引数にフォールバックを書けるのも実務的です。
対応状況は、attr() の拡張も alpha() も Interop 2026 の対象項目で、3エンジンとも実装が進んでいます。 ChromeとFirefoxは安定版で使えますが、Safariは Technology Preview 246 での実装にとどまり、安定版にはまだ降りてきていません。 受託案件で使うなら、@supports かJSでの機能判定を挟むのが現実的です。今回のデモでも、型付き attr() が効くかを実測してからフォールバックに切り替えています。
💡 今すぐ試せる: ステータス表示にクラスを量産している箇所を1つ選び、attr(data-color type(<color>), 既定色) に置き換えられるか試す。Safari向けにCSS変数のフォールバックを併記しておく
ブラウザ3社が2週間リリースへ移行(Edge 8/27・Firefox 9/1・Chrome 9/8)
Firefox 155には、機能とは別にもう1つ意味があります。主要ブラウザが揃って、リリース間隔を4週間から2週間に短縮する時期に入りました。
出典: Chrome for Developers — Get features faster with Chrome’s two-week release cycle / gHacks — Firefox Switches to Two-Week Release Cycle
移行のタイミングは3社で少しずつずれています。
- Edge: 8月27日のEdge 152から
- Firefox: 9月1日のFirefox 155から。以降は156が9月15日、157が9月29日
- Chrome: 9月8日のChrome 153から
前号で「Chrome 152が4週間サイクル最後のリリース」という情報に触れながら、裏が取れず削った経緯がありました。今回確認したところ、これは正しい情報でした。 訂正しておきます。なおSafariはこの流れに入っておらず、従来どおりのペースです。
この変更は、制作側の「対応表」の運用に効いてきます。 3社が2週間おきに上がるようになると、バージョン番号で対応状況を管理する方法は現実的に追いつきません。仕様書に「Firefox 155以上」と書いても、3ヶ月後には6世代先に進んでいます。
バージョンではなく機能で判定する書き方に寄せるのが安全です。 CSSなら @supports、JavaScriptなら実際にAPIが存在するかを見る。バージョン番号を条件に書いたコードは、この先どんどん壊れやすくなります。
💡 今すぐ試せる: 制作仕様書やテスト項目に「ブラウザのバージョン番号」を書いている箇所があれば、「対応する機能」の記述に置き換えられないか見直す
WordPress 7.1.1 と ACF 問題のその後
前号で取り上げたACF Blocks V2の問題について、状況を補足します。WordPress側では7.1.1のメンテナンスリリースに向けた準備が進んでいますが、リリースマネージャーを募集している段階で、日程はまだ確定していません。
ACF側は前号のとおり、8月27日のPRO 6.8.9でBlocks V3をデフォルトにし、V2の挙動を戻す互換プラグインをGitHubで配布しています。7.1.1でiframe周りの挙動に手が入るかどうかは、現時点では公表されていません。
互換プラグインで動かしているなら、7.1.1が出たあとにもう一度確認する時間を取ってください。 ACF自身が「コアの進化に伴って動かなくなる可能性がある」と明言している以上、コアが動くたびに確認が要る状態です。V3への移行を先延ばしにするほど、この確認作業が積み上がります。
なお前号で「ドキュメントが整ってから取り上げる」と書いたChromeの CPU Performance API については、今週時点でも具体的な使い方の情報は出ていません。
💡 今すぐ試せる: 互換プラグインで運用しているサイトをリスト化し、7.1.1のリリース情報が出たら再確認する、と決めておく
今週のひとこと
Webflowがエージェント前提の基盤を出し、Figmaが外部から触られる口を整え、ブラウザ3社がリリース間隔を半分にする。どれも「作ったあとに手を入れ続ける前提」へ寄る動きに見えます。バージョンを固定して納品して終わり、という形が成り立ちにくくなっているぶん、機能判定で書く備えが効いてきます。



