今週は検索とCMSの両面で大きな動きがありました。Googleが2026年初のコアアップデートを開始し、WordPress 7.0はRC2に到達。デザインツール市場ではFigmaとGoogle Stitchの直接対決が鮮明になっています。それぞれ実務への影響を整理しました。
Google March 2026 Core Update — 2026年初のコアアップデートが始動
3月27日、Googleが2026年初のコアアップデートを開始しました。ロールアウトには最大2週間かかる見込みです。
Googleは「検索者にとって関連性があり、満足できるコンテンツを、あらゆる種類のサイトからより良く表示するための定期的なアップデート」としています。今月はすでにスパムアップデート(3月上旬)も行われており、立て続けの更新となっています。
グローバル対象・全言語に影響するため、日本語サイトも例外ではありません。メディア運営者にとっては、ロールアウト期間中のアクセス推移を注視すべきタイミングです。今回のアップデートがどのようなシグナルを重視しているかは、ロールアウト完了後のSEO分析を待つ必要があります。過度な先回りは逆効果ですが、Search Consoleのデータはこまめに確認しておきたいところです。
💡 今すぐ試せる: Google Search Consoleで過去28日間のパフォーマンスをスクリーンショットしておき、ロールアウト後の変化と比較する。
WordPress 7.0 RC2リリース — 4月9日の正式公開へカウントダウン
3月26日、WordPress 7.0 Release Candidate 2がリリースされました。正式リリースは4月9日(WordCamp Asiaに合わせたスケジュール)です。

RC1は当初3月19日予定でしたが、Real-Time Collaboration(RTC)のパフォーマンス問題で3月24日に延期。RC2でRTCのデフォルト有効化が判断される予定です。
注目の新機能をまとめると:
- AI Connector — php-ai-clientパッケージを介したAIサービス統合基盤。OpenAI・Google・Anthropicの3プロバイダーが対応
- Real-Time Collaboration — HTTPポーリング方式の共同編集機能。CRDTベースで同時編集者数は初期2人制限
- Icon Block + SVG API — SVGアイコンをブロックエディタから直接挿入。REST API(
/wp/v2/icons)も利用可能 - Visual Revisions — ブロック単位の変更履歴を色分けで表示
- Command Palette — Omnibar統合のコマンドパレット(Ctrl+K / ⌘K)
AI Connectorが入るのは大きい。プラグイン開発者にとっては、3社のAIサービスを統一インターフェースで扱える基盤ができることを意味します。WordPress 7.0はCMSの「AI標準装備」時代の始まりになるかもしれません。
💡 今すぐ試せる: テスト環境にWP 7.0 RC2を入れて、コマンドパレット(⌘K)の使い勝手を試してみる。
Figma、AIエージェントがキャンバスに直接デザイン可能に
3月24日、FigmaがAIエージェントによるキャンバス直接デザイン機能を発表しました。エージェントにはスキル(skills)を設定でき、チームの意思決定やデザイン方針をコンテキストとして渡すことができます。
注目すべきは、エージェントが既存のコンポーネント・変数・トークンを読み取った上でデザインを生成する点です。白紙からの生成ではなく、チームのデザインシステムに沿った成果物を作れる。これは「AIが勝手にデザインを作る」のではなく、「AIがデザインシステムの文脈を理解してデザインする」という大きな違いです。
あわせてアイドロッパーツールも強化され、キャンバス外(macOSデスクトップ全体)からの色取得が可能に。Figmaの方向性は明確で、「AIをデザインプロセスの中に組み込む」こと。デザイナーの仕事が減るというより、「意思決定に集中できる環境」を作ろうとしている印象です。
💡 今すぐ試せる: FigmaのAIエージェント設定画面にアクセスし、既存プロジェクトでスキルの動作を確認してみる。
Google Stitch — デザインツール市場に本格参入
Google Stitchの3月アップデートが注目を集めています。マルチスクリーン生成、AIネイティブ無限キャンバス、インタラクティブプロトタイピングを搭載し、Figma・Adobeに直接挑む構えです。

Google Stitchは無料。Figma($3/月〜)やAdobe CC($9.99/月〜)と比較すると、特にスタートアップや個人開発者にとってのハードルはかなり低い。Google製品(フォント・Drive・Workspace等)との統合という武器も持っています。デザインツール市場が三つ巴になったことで、各社のアップデート速度が加速する可能性があります。ユーザーにとっては良い競争です。
💡 今すぐ試せる: Google Stitchにアクセスして、簡単なUIモックアップを生成してみる。既存ワークフローとの比較材料になる。
Cursor、有料ユーザー100万人突破 — BugBotも登場
Cursorが有料ユーザー100万人を突破しました。AIコーディングIDE市場での存在感を示す節目です。
3月の大型アップデートでは並列サブエージェント(複数のAIが同時に異なるタスクを処理)と、PR単位の自動コードレビューを行うBugBotが導入されました。
競合のWindsurfも3月19日に料金体系を刷新。クレジット制から日次・週次クォータ制に移行しています。AIコーディングツールの有料ユーザー100万人は、もはやアーリーアダプターだけの話ではなくなった証拠。ツール選定は「使うか使わないか」ではなく「どう使い分けるか」のフェーズに完全に移行しています。
💡 今すぐ試せる: Cursorの並列サブエージェント機能を試して、複数ファイルにまたがるリファクタリングの効率を検証してみる。
「半年以内にコードの90%がAI生成に」— Anthropic CEO発言が波紋
Anthropic CEOのDario Amodeiが3月に「半年以内にコードの90%がAIによって書かれるようになる」と発言し、業界で議論を呼んでいます。
MicrosoftのSatya NadellaとGoogleのSundar Pichaiもそれぞれ「社内コードの約25%がAI生成」と明かしており、大企業レベルでのAI活用は確実に進んでいます。一方、ウォータールー大学の研究では、最先端モデルでも構造化出力テストの正解率は約75%にとどまるという結果も出ています。
「90%」という数字はポジショントーク込みで割り引く必要がありますが、方向性は間違いなくそちらに向かっています。重要なのは「AIが書いたコードをレビューし、判断する能力」がこれからの開発者の核心スキルになるということ。コードを書く速さではなく、コードの質を見極める力が問われる時代になりつつあります。
💡 今すぐ試せる: 自分の直近の作業を振り返り、「AIに任せられた部分」と「人間の判断が必要だった部分」を分けてみる。
今週の所感:「標準」が書き換わり始めた週
Google Core Update、WordPress 7.0、Figma AIエージェント、Google Stitch。今週は「これまでの標準」が複数のレイヤーで同時に書き換わり始めた週でした。
検索アルゴリズムが変わり、CMSがAI統合を標準装備し、デザインツールの勢力図が変わる。どれも「いつか来る」と言われていた変化ですが、こうして同じ週に重なると、変化の速さを実感します。キャッチアップし続けることが仕事の一部になっているWeb業界ですが、今週は特にその密度が濃かった。来週以降も動きは続きそうです。


